令和2年8月16日

会長対談報告

 

連合三田会の皆様

一般財団法人 慶應連合三田会
会長 菅沼安嬉子

拝啓
大変な猛暑の毎日でございます。ここ数週間を何とか耐えて熱中症にならないようにご注意ください。
4 月からの新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言からの自粛と、それによる経済の停滞。温暖化による豪雨災害など暗いお話ばかりでしたが、この度は少し明るいニュースをお届けしたいと思います。

7 月 22 日に、塾監局会議室で3mのソーシャルディスタンスを保ちながら長谷山彰塾長にインタビューいたしました。
まず、3 月からの新型コロナウイルス感染の影響による慶應義塾の様々な対応とコロナ後の教育研究では、大学執行部の迅速な対応と学生や教職員の財政的危機をいかに回避するかの御苦労などをお聞きしました。
次に、長谷山塾長がご就任されてすぐ、福澤諭吉記念慶應義塾学事振興基金(福澤基金)と小泉信三記念慶應義塾学事振興基金(小泉基金)を充実させたいと募金を始められましたが、その思い入れと、現在、目標の「創立 200 年までに 1,000 億」に早いペースで積みあがっていること、それによる素晴らしい研究、教育の成果が上がりつつあることをお聞きしました。
もう一つ、塾長が念願のミュージアム建設について、来年 3 月にはデジタルとアナログの融合した、教育、研究に役立つ未来型博物館が完成するとのこと。同時に耐震化工事が終わった旧図書館には福澤諭吉と慶應義塾の歴史が見られる展示室もできるとのことです。
最後に地球温暖化、SDGsに対する取り組みは世界でも評価されていて、全学部総合の力強い活動についてもお聞きすることができました。
長谷山塾長の熱い思いの籠った内容は、三田ジャーナル 9 月特別号に詳しく載りますのでぜひお読みください。

7 月 28 日には、交詢社連合三田会事務局会議室で、世界文化社の家庭画報が企画した福澤諭吉のすすめ特集で、連合三田会会長として塾員で作家、国文学者の林望氏とオンライン対談いたしました。
この企画は「福澤諭吉のすすめ~この時代を生き抜く生き方と言葉」というタイトルで、37ページに及ぶ巻頭特集です。福澤先生の時代は幕末の戦時下と外国の属国になるかもしれない危機の時代でした。
先生は様々なメッセージを発信されて教育と啓蒙活動で危機を乗り越えるべく国民を導かれました。  今、やはり国難ともいえる危機の時代に、福澤先生のお言葉を思いおこし、一人一人が考えを巡らせてもらうようにとの企画です。
家庭画報は中高年層の女性を読者に持つ、とても美しい月刊誌ですが、会長も編集長も担当編集者も塾員の女性ですのでこの特集には特別の思い入れがあると言っております。
紺野美沙子と辿る福澤諭吉の足跡、向井千秋の福澤諭吉イズム、齋藤孝の私の福澤像、山内慶太監修の福澤諭吉が広めた言葉、慶應義塾福澤研究センター都倉武之准教授も協力されました。その他「今に生る福澤の DNA/各界のリーダーが実践する諭吉の教え」として、福原義春、星野佳路、千住真理子、池上彰、山縣亮太その他の各氏も登場します。
私は、「福澤諭吉の革新性~女性論から家庭論~連合三田会の行方」などについてお話しました。
こちらは、9月 1 日発売の 10 月号です。お読みいただければ幸いです。

温暖化の加速で段々耐えきれない酷暑の夏になり、熱中症の死者がコロナの死者数を上回って参りました。
温暖化は緯度が高いほど影響が大きく、沖縄と北海道が同じ最高気温になってきました。去る 6 月 20 日にはロシア・サハ共和国で 38℃を記録してシベリアでは永久凍土が溶けだしています。永久凍土が溶けるとそこに閉じ込められていたメタンガスが空気中に排出されます。メタンガスは二酸化炭素の 25 倍もの温室効果ガスです。山火事も多発していますが、火が燃えるということは二酸化炭素が出るということでアリ地獄のようになってしまいます。
しかし、熱中症予防に電気は必須です。家やビルを建てるときはゼロエネルギーの建物を、またソーラーパネルが設置できる所があったら是非投資してください。リチウムイオン電池を組み合わせるのもいいでしょう。化石燃料の火力発電によらない電気自動車とかも有効です。温暖化防止の投資は災害で破壊されての復興にかかるお金の 1/10 もかかりません。
企業は省エネと再生可能エネルギーを頑張ってください。EU ヨーロッパ連合のように、国が先頭に立ってくれない場合は、個人や企業が知恵を絞って 10 年で二酸化炭素を半分にしなくてはなりません。20 年でゼロにしないとコロナの経済混乱の比ではない危機となるでしょう。塾員がリーダーとなり周りに働きかけてください。行動を起こすのは今です。途上国の援助ももちろん大切ですが、まず自分の国から。

この夏は、私にとって福澤先生の教えに思いをはせる日々となりました。皆様も、三田ジャーナルと家庭画報をお読みくださり、この時代をどう生きるかを考えていただけると有難く思います。

敬具